【品詞分解】中納言参り給ひて(『枕草子』より)

枕草子_中納言参り給ひて 高校古典
【原文・現代語訳】中納言参り給ひて(『枕草子』より)
(1)中納言参り給ひて、…… 原文 ①中納言参り給ひて、御扇奉らせ給ふに、 ②「隆家こそいみじき骨は得て侍れ。 ③それを張らせて参らせむとするに、おぼろけの紙はえ張るまじければ、求め侍るなり。」と申し給ふ。 ④「いかやうにかある。」と問ひき...

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(1)中納言参り給ひて、……

① 中納言参り給ひて、御扇奉らせ給ふに、
中納言(=藤原隆家)が〔中宮定子のもとに〕参上なさって、御扇を差し上げなさるときに、

中納言=[名]
参り=[動]ラ四「参る」用/参る=謙譲語(本)作者から中宮へ
給ひ=[動]ラ四「給ふ」用/給ふ=尊敬語(補)作者から隆家へ
=[接助]単純な接続
御扇=[名]
奉らせ=[動]サ下二「奉らす」用/奉らす=謙譲語(本)作者から中宮へ
給ふ=[動]ハ四「給ふ」体/給ふ=尊敬語(補)作者から隆家へ
=[格助]時

②「隆家こそいみじき骨は得て侍れ。
「〔この私〕隆家はすばらしい〔扇の〕骨を手に入れております。

隆家=[名]
こそ=[係助]強意(結びの語:侍れ)
いみじき=[形]シク「いみじ」体
=[名]
=[係助]主題の提示
=[動]ア下二「得」用
=[接助]単純な接続
侍れ=[動]ラ変「侍り」已/侍り=丁寧語(補)隆家から中宮へ

③それを張らせて参らせむとするに、おぼろけの紙はえ張るまじければ、求め侍るなり。」と申し給ふ。
それ〔に紙〕を張らせて献上しようと思っておりますが、ありふれた紙は〔不調和で〕張ることができそうにもないので、〔ふさわしい紙を〕探しております。」と申し上げなさる。

それ=[名]
=[格助]動作の対象
張ら=[動]ラ四「張る」未
=[助動]使役「す」用
=[接助]単純な接続
参らせ=[動]サ四「参らす」未/参らす=謙譲語(本)隆家から中宮へ
=[助動]意志「む」止
=[格助]引用
する=[動]サ変「す」体
=[接助]単純な接続
おぼろけ=[形動]ナリ「おぼろけなり」語幹
=[格助]連体修飾格
=[名]
=[係助]主題の提示
=[副]
張る=[動]ラ四「張る」止
まじけれ=[助動]不可能「まじ」已
=[接助]原因・理由
求め=[動]マ下二「求む」用
侍る=[動]ラ変「侍り」体/侍り=丁寧語(補)隆家から中宮へ
なり=[助動]断定「なり」止
=[格助]引用
申し=[動]サ四「申す」用/申す=謙譲語(本)作者から中宮へ
給ふ=[動]ハ四「給ふ」止/給ふ=尊敬語(補)作者から隆家へ

④ 「いかやうにかある。」と問ひきこえさせ給へば、
〔中宮が〕「〔その骨は〕どのようなものですか。」とお尋ね申し上げなさったので、

いかやうに=[形動]ナリ「いかやうなり」用
=[係助]疑問(結びの語:ある)
ある=[動]ラ変「あり」体
=[格助]引用
問ひ=[動]ハ四「問ふ」用
きこえ=[動]ヤ下二「きこゆ」未/きこゆ=謙譲語(補)作者から隆家へ
させ=[助動]尊敬「さす」用/さす=尊敬語(助動)作者から中宮へ
給へ=[動]ハ四「給ふ」已/給ふ=尊敬語(補)作者から中宮へ
=[接助]原因・理由

⑤ 「すべていみじう侍り。
「すべてみごとでございます。

すべて=[副]
いみじう=[形]シク「いみじ」用・ウ音便
侍り=[動]ラ変「侍り」止/侍り=丁寧語(補)隆家から中宮へ

⑥ 『さらにまだ見ぬ骨のさまなり。』となむ人々申す。
『まったく今までに見たことがない骨のようすだ』と人々は申します。

さらに=[副]
まだ=[副]
=[動]マ上一「見」未
=[助動]打消「ず」体
=[名]
=[格助]連体修飾格
さま=[名]
なり=[助動]断定「なり」止
=[格助]引用
なむ=[係助]強意(結びの語:申す)
人々=[名]
申す=[動]サ四「申す」体/申す=謙譲語(本)隆家から中宮へ

⑦ まことにかばかりのは見えざりつ。」と、言高くのたまへば、
ほんとうにこれほどの〔骨〕は見たことがありません。」と声高に(=得意げに)おっしゃったので、

まことに=[副]
かばかり=[副]
=[格助]体言の代用
=[係助]主題の提示
見え=[動]ヤ下二「見ゆ」未
ざり=[助動]打消「ず」用
=[助動]完了「つ」止
=[格助]引用
言高く=[形]ク「言高し」用
のたまへ=[動]ハ四「のたまふ」已/のたまふ=尊敬語(本)作者から隆家へ
=[接助]原因・理由

⑧ 「さては、扇のにはあらで、くらげのななり。」と聞こゆれば、
〔私が〕「それでは、扇の〔骨〕ではなくて、くらげの〔骨〕のようですね。」と申し上げると、

さては=[接]
=[名]
=[格助]体言の代用
=[助動]断定「なり」用
=[係助]区別
あら=[動]ラ変「あり」未
=[接助]打消接続
くらげ=[名]
=[格助]体言の代用
=[助動]断定「なり」体・撥音便(無表記)
なり=[助動]伝聞「なり」止
=[格助]引用
聞こゆれ=[動]ヤ下二「聞こゆ」已/聞こゆ=謙譲語(本)作者から隆家へ
=[接助]偶然条件

⑨ 「これは隆家が言にしてむ。」とて、笑ひ給ふ。
〔中納言は〕、「これは〔私〕隆家の言葉にしてしまおう。」と言って、笑いなさる。

これ=[名]
=[係助]主題の提示
隆家=[名]
=[格助]連体修飾格
=[名]
=[格助]動作の対象
=[動]サ変「す」用
=[助動]強意「つ」未
=[助動]意志「む」止
とて=[格助]引用
笑ひ=[動]ハ四「笑ふ」用
給ふ=[動]ハ四「給ふ」止/給ふ=尊敬語(補)作者から隆家へ

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