【品詞分解・解説】芥川(『伊勢物語』より)

伊勢物語_芥川 高校古典
【原文・現代語訳】芥川(『伊勢物語』より)
(1)昔、男ありけり。…… 原文 ①昔、男ありけり。女のえ得まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。②芥川といふ川を率て行きければ、草の上に置きたりける露を、「かれは何ぞ。」となむ男に問ひける。 ...

(2)これは、二条の后の、いとこの女御の御もとに、……

① これは、二条の后の、いとこの女御の御もとに、仕うまつるやうにてゐ給へりけるを、
この話は、二条の后(=藤原高子)が、いとこの女御のところに、お仕えするようにしていらっしゃったのを、

これ=[名]
=[係助]主題の提示
二条の后=[名]
=[格助]連体修飾格
いとこ=[名]
=[格助]連体修飾格
女御=[名]
=[格助]連体修飾格
御もと=[名]
=[格助]場所
仕うまつる=[動]ラ四「仕うまつる」体
やう=[名]
=[助動]断定「なり」用
=[接助]単純な接続
=[動]ワ上一「ゐる」用
給へ=[動]ハ四「給ふ」已
=[助動]存続「り」用
ける=[助動]過去「けり」体
=[格助]動作の対象

② かたちのいとめでたくおはしければ、盗みて負ひて出でたりけるを、
容貌がたいそう美しくいらっしゃったので、〔男が女を〕背負って踏み出したのを、

かたち=[名]
=[格助]主格
いと=[副]
めでたく=[形]ク「めでたし」用
おはし=[動]サ変「おはす」用
けれ=[助動]過去「けり」已
=[接助]原因・理由
盗み=[動]マ四「盗む」用
=[接助]単純な接続
負ひ=[動]ハ四「負ふ」用
=[接助]単純な接続
出で=[動]ダ下二「出づ」用
たり=[助動]完了「たり」用
ける=[助動]過去「けり」体
=[接助]単純な接続

③ 御兄、堀河の大臣、太郎国経の大納言、まだ下臈にて内裏へ参り給ふに、
御兄の堀川の大臣(=藤原基経)、長男の国経の大納言(=藤原国経)が、まだ低い身分で内裏へ参上しなさるときに、

御兄=[名]
堀河の大臣=[名]
太郎=[名]
国経の大納言=[名]
まだ=[副]
下臈=[名]
=[助動]断定「なり」用
=[接助]単純な接続
内裏=[名]
=[格助]方向
参り=[動]ラ四「参る」用
給ふ=[動]ハ四「給ふ」体
=[格助]時

④ いみじう泣く人あるを聞きつけて、とどめて取り返し給うてけり。
たいそう泣く人がいるのを聞きつけて、引きとめて取り返しなさったのだった。

いみじう=[形]シク「いみじ」用・ウ音便
泣く=[動]カ四「泣く」体
=[名]
ある=[動]ラ変「あり」体
=[格助]動作の対象
聞きつけ=[動]カ下二「聞きつく」用
=[接助]単純な接続
とどめ=[動]マ下二「とどむ」用
=[接助]単純な接続
取り返し=[動]サ四「取り返す」用
給う=[動]ハ四「給ふ」用・ウ音便
=[助動]完了「つ」用
けり=[助動]過去「けり」止

⑤ それを、かく鬼とは言ふなりけり。
それを、このように鬼と言うのであった。

それ=[名]
=[格助]動作の対象
かく=[副]
=[名]
=[格助]引用
=[係助]主題の提示
言ふ=[動]ハ四「言ふ」体
なり=[助動]断定「なり」用
けり=[助動]過去「けり」止

⑥ まだいと若うて、后のただにおはしける時とや。
まだたいそう若くて、后が普通の身分でいらっしゃったときのことだという。

まだ=[副]
いと=[副]
若う=[形]ク「若し」用・ウ音便
=[接助]単純な接続
=[名]
=[格助]主格
ただに=[形動]ナリ「ただなり」用
おはし=[動]サ変「おはす」用
ける=[助動]過去「けり」体
=[名]
とや=[連語]
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