【解説】平泉(『おくのほそ道』より)【中学国語】

おくのほそ道_平泉(中学国語) 中学国語
【原文・現代語訳】平泉(『おくのほそ道』より)【中学国語】
(1)三代の栄耀一睡のうちにして、…… 原文 ①三代の栄耀一睡のうちにして、大門の跡は一里こなたにあり。②秀衡が跡は田野になりて、金鶏山のみ形を残す。③まづ高館に登れば、北上川、南部より流るる大河なり。④衣川は和泉が城を巡りて、高館の下にて...

(2)かねて耳驚かしたる二堂開帳す。……

① かねて耳驚かしたる二堂[1]開帳す。
以前から噂に聞いて驚いていた二堂(=中尊寺の経堂と金堂)が開帳されている。

[1] 二堂=中尊寺の経堂と金堂(金色堂)。

② 経堂[2]は三将の像[3]を残し、光堂[4]は三代の棺を納め、三尊の仏[5]を安置す。
経堂には〔奥州藤原氏の清衡・基衡・秀衡の〕三代の将軍の像を残しており、光堂は〔これら〕三代の棺を納め、阿弥陀三尊の仏を安置している。

[2] 経堂=経典をおさめておく蔵。
[3] 三将の像=藤原の清衡・基衡・秀衡の像。
[4] 光堂=藤原清衡が建立した阿弥陀堂。金色堂とも。
[5] 三尊の仏=阿弥陀如来、勢至菩薩、観世音菩薩のこと。
対句=「経堂は三将の像を残し」と「光堂は三代の棺を納め、三尊の仏を安置す」、「三代の棺を納め」と「三尊の仏を安置す」

③ 七宝散り失せて、珠の扉風に破れ、金の柱霜雪に朽ちて、
〔光堂を飾っていた〕七宝は消失して、珠玉をちりばめた扉は風に敗れ、金箔の柱は霜や雪で朽ちて、

対句=「珠の扉風に破れ」と「金の柱霜雪に朽ちて」

④ すでに頑廃空虚の草むらとなるべきを[6]
とっくに崩れ落ちてなにもない草むらになるはずであったのに、

[6] 頑廃空虚の草むらとなるべきを=中尊寺は奥州藤原氏の滅亡とともに荒廃し、光堂と経堂の一部しか残らなかった。

⑤ 四面新たに囲みて、甍を覆ひて風雨をしのぐ[7]
〔光堂の周りの〕四面を新しく囲んで、屋根で覆って風雨を防いでいる。

[7] 四面新たに囲みて、甍を覆ひて風雨をしのぐ=鎌倉時代に光堂を覆う鞘堂がつくられた。

⑥ しばらく千歳のかたみとはなれり。
〔ここ〕しばらくは遠い昔のをしのぶ記念物となっている。


⑦ 五月雨の降り残してや光堂
〔すべてを古びさせる〕五月雨も、ここだけは降らなかったのだろうか。〔今もなお昔と同じように燦然と輝いている〕光堂よ

季語=五月雨  季節=夏
切れ字=や

 

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