【品詞分解】帰京(『土佐日記』より)

土佐日記_帰京 高校古典
【原文・現代語訳】帰京(『土佐日記』より)
(1)京に入り立ちてうれし。 原文 ①京に入り立ちてうれし。②家に至りて、門に入るに、月明ければ、いとよくありさま見ゆ。③聞きしよりもまして、いふかひなくぞこぼれ破れたる。④家に預けたりつる人の心も、荒れたるなりけり。⑤「中垣こそあれ、一つ...

(2)さて、池めいてくぼまり、……

① さて、池めいてくぼまり、水つけるところあり。
さて、池のようにくぼんで、水に浸かっているところがある。

さて=[接]
池めい=[動]カ四「池めく」用・イ音便
=[接助]単純な接続
くぼまり=[動]ラ四「くぼまる」用
=[名]
つけ=[動]カ四「つく」已
=[助動]存続「り」体
ところ=[名]
あり=[動]ラ変「あり」止

② ほとりに松もありき。
〔池の〕そばには松もあった。

ほとり=[名]
=[格助]場所
=[名]
=[係助]同趣の一つ
あり=[動]ラ変「あり」用

③ 五年六年のうちに、千年や過ぎにけむ、かたへはなくなりにけり。
五、六年のうちに、千年が過ぎてしまったのだろうか、半分はなくなっていた。

五年=[名]
六年=[名]
=[格助]連体修飾格
うち=[名]
=[格助]時
千年=[名]
=[係助]疑問(結びの語:けむ)
過ぎ=[動]ガ上二「過ぐ」用
=[助動]完了「ぬ」用
けむ=[助動]過去推量「けむ」体
かたへ=[名]
=[係助]区別
なく=[形]ク「なし」用
なり=[動]ラ四「なる」用
=[助動]完了「ぬ」用
けり=[助動]過去「けり」止

④ 今生ひたるぞ混じれる。
新しく生えたのがまじっている。

=[名]
生ひ=[動]ハ上二「生ふ」用
たる=[助動]完了「たり」体
=[係助]強意(結びの語:る)
混じれ=[動]ラ四「混じる」已
=[助動]存続「り」体

⑤ おほかたの、みな荒れにたれば、「あはれ。」とぞ人々言ふ。
〔松だけでなく〕大体のものが、すべて荒れてしまっているので、「なんてひどい。」と人々は言う。

おほかた=[名]
=[格助]連体修飾格
みな=[名]
荒れ=[動]ラ下二「荒る」用
=[助動]完了「ぬ」用
たれ=[助動]存続「たり」已
=[接助]原因・理由
あはれ=[感動]
=[格助]引用
=[係助]強意(結びの語:言ふ)
人々=[名]
言ふ=[動]ハ四「言ふ」体

⑥ 思ひ出でぬことなく、思ひ恋しきがうちに、この家にて生まれし女子の、もろともに帰らねば、いかがは悲しき。
思い出さないことはなく、恋しい思いのなかでも、この家で生まれた女の子が、一緒に帰らないので、どんなに悲しいことか。

思ひ出で=[動]ダ下二「思い出づ」未
=[助動]打消「ぬ」体
こと=[名]
なく=[形]ク「なし」用
思ひ=[動]ハ四「思ふ」用
恋しき=[形]シク「恋し」体
=[格助]連体修飾格
うち=[名]
=[格助]比較の基準
この=[連語]
=[名]
にて=[格助]場所
生まれ=[動]ラ下二「生まる」用
=[助動]過去「き」体
女子=[名]
=[格助]主格
もろともに=[副]
帰ら=[動]ラ四「帰る」未
=[助動]打消「ず」已
=[接助]原因・理由
いかが=[副]
=[係助]強意
悲しき=[形]シク「悲し」体

⑦ 船人もみな、子たかりてののしる。
船の人(=同じ船で一緒に帰京した人)もみな、子どもがよってたかって大騒ぎをしている。

船人=[名]
=[係助]同趣の一つ
みな=[名]
=[名]
たかり=[動]ラ四「たかる」用
=[接助]単純な接続
ののしる=[動]ラ四「ののしる」止

⑧ かかるうちに、なほ悲しきに堪へずして、ひそかに心知れる人と言へりける歌、
こうしているなかで、やはり悲しさにたえられずに、ひっそりと気心のしれている人と言いあった歌、

かかる=[動]ラ変「かかり」体
うち=[名]
=[格助]状態・状況
なほ=[副]
悲しき=[形]シク「悲し」体
=[格助]動作の対象
堪へ=[動]ハ下二「堪ふ」未
=[助動]打消「ず」用
して=[接助]単純な接続
ひそかに=[形動]ナリ「ひそかなり」用
=[名]
知れ=[動]ラ四「知る」已
=[助動]存続「り」体
=[名]
=[格助]引用
言へ=[動]ハ四「言ふ」已
=[助動]完了「り」用
ける=[助動]過去「けり」体
=[名]

⑨ 生まれしも帰らぬものをわが宿に小松のあるを見るが悲しさ
〔ここで〕生まれた子も帰ってこないのに、我が家〔の庭〕に小松があるのを見るのは〔子どもが思い出されて〕悲しいことだ

生まれ=[動]ラ下二「生まる」用
=[助動]過去「き」体
=[係助]類推
帰ら=[動]ラ四「帰る」未
=[助動]打消「ず」体
ものを=[接助]逆接の確定条件
わが=[連語]
宿=[名]
=[格助]場所
小松=[名]
=[格助]主格
ある=[動]ラ変「あり」体
=[格助]動作の対象
見る=[動]マ上一「見る」体
=[格助]連体修飾格
悲しさ=[名]

⑩ とぞ言へる。なほ飽かずやあらむ、またかくなむ、
と言った。やはり満足しないのであろうか、またこのように〔詠んだ〕、

=[格助]引用
=[係助]強意(結びの語:る)
言へ=[動]ハ四「言ふ」已
=[助動]体「り」体
なほ=[副]
飽か=[動]カ四「飽く」未
=[助動]打消「ず」用
=[係助]疑問(結びの語:む)
あら=[動]ラ変「あり」未
=[助動]推量「む」体
また=[副]
かく=[副]
なむ=[係助]強意(結びの語:省略)

⑪ 見し人の松の千年に見ましかば遠く悲しき別れせましや
亡くなった子が、千年の齢を保つ松のように〔いつまでも生きながらえて〕見ることができたならば、〔土佐での〕遠く悲しい別れをしただろうか、いや、しなかっただろうに。

=[動]マ上一「見る」用
=[助動]過去「き」体
=[名]
=[格助]主格
=[名]
=[格助]連体修飾格
千年=[名]
=[格助]動作の対象
=[動]マ上一「見る」未
ましか=[助動]反実仮想「まし」未
=[接助]順接の仮定条件
遠く=[形]ク「遠し」用
悲しき=[形]シク「悲し」体
別れ=[名]
=[動]サ変「す」未
まし=[助動]反実仮想「まし」止
=[係助]疑問

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